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趣味の作品展示コーナー 

展示期間:7/1〜7/31
陶芸:海洋
陶芸:海洋
写真:川越りそな銀行
写真:川越りそな銀行
糸絵:路傍の花
糸絵:路傍の花
模型:模型製作代行
模型:模型製作代行
フィギュア:創作フィギュア
フィギュア:創作フィギュア
墨絵:室生寺の五重塔
墨絵:室生寺の五重塔
木彫刻:木曽馬・磨墨
木彫刻:木曽馬・磨墨
水彩:ベニスの朝
水彩:ベニスの朝
花:ローズガーランド
花:ローズガーランド
模型:F4ファントム
模型:F4ファントム
アクリル:キリン
アクリル:キリン
木彫:貝殻熊のペプ
木彫:貝殻熊のペプ

シュミランからのお知らせ

2013年06月15日 18時15分
6/15(土) 趣味のコンパス更新しました。(傑作映画ミニ解説)
【傑作邦画篇その5】- 邦画サスペンス傑作選2

★=オーナー独善的おススめ度(5つ星が最高)

■野良犬(’49) 監督:黒澤明
おススめ度:★★★★☆

※コンビ刑事物の元祖
戦後間もない頃、新米刑事(三船敏郎)が盗まれた拳銃によって凶悪な事件が起き、ベテラン老刑事(志村喬)と、新米刑事がコンビを組んで執念の解決をはかる ・・刑事ものの映画は、今やほとんどこの凸凹コンビのパターンが多いのですが、この作品は60年以上も前なので、そのパターンの「元祖」と言えるでしょう。舞台は、連日ピーカンの続く真夏・・当時はもちろんクーラーなどないので、せいぜい扇風機か扇子かアイスキャンディー。刑事たちのエネルギーと相まって、スクリーンから熱気と汗がハンパなく迸ります。星4つ・・現代のサスペンスや刑事ドラマと比べてしまうと、スピード感と臨場感はどうしても弱い・・。でも、当時なら迷うことなく5つつけていたかもしれません。映画の持つ「時を超えた普遍性」、一方で「その時代の特殊性」・・残りの星1つは、やはりその時代を生きる人によって適正な評価を受けるべきもの・・なのかも。

■黒い画集 あるサラリーマンの証言(’60)監督:堀川弘通
おススめ度:★★★★☆

※日常に潜む落とし穴
松本清張の原作を映画化したサスペンスの佳作。殺人の容疑者として逮捕された知人の男・・彼の無実を知る者は自分だけ、しかし、その証言をすれば
部下との不倫がバレてしまう、という主人公(中小企業の中堅管理職)のジレンマと切迫感が、観客の身にもジワジワとしみ込んでくる・・そんな巧みな演出が光っています。ストーリー運びはメリハリがしっかりとしており、ストレスのない絵作りの巧みさは特筆もの。清張原作の作品は星の数ほどありますが、これは、前回ご紹介した「張込み」「砂の器」と並んで三本の指に入る名作と言ってよいのではないでしょうか。星4つです。

■新幹線大爆破(’75)監督:佐藤純彌
おススめ度:★★★★☆

※名作になり損ねた佳作
走行中の新幹線の乗客全員を人質にとった爆弾脅迫事件が発生。新幹線の車両に仕掛けられた爆弾は、走行速度が一定以下になると爆発する・・んっ、どこかで聞いたような ・・。そうです、「スピード」(’94:ヤン・デ・ボン監督)そっくりの設定ですね。そのアイディアを20年ほど前に先取りしたという事実、そしてハリウッドの大作と比べても引けを取らないほどのスケール感とスピード感、そしてエンタメ度は、何かとヒットした洋画の「寸借詐欺(?)」が多い邦画としては「快挙」と言えます。ただ、惜しむらくは、新幹線の疾走シーンが「模型感満載」でなんとしょぼいこと・・ここだけはあまりにも悲しくて・・泣けます(笑)。この作品、コレがなければ邦画史に残る大傑作になりえたかも・・惜しいっ!で、星4つ止まり。

■太陽を盗んだ男(’79)監督:長谷川和彦
おススめ度:★★★★★

※エネルギッシュな超邦画
手作りのスイカ大の原爆を楯に、中学教師(沢田研二)が、プロ野球のTV中継を時間切れなしで試合終了まで放送することや、ローリング・ストーンズの日本公演を実現することを国家に要求するという、一見B級映画的な匂いプンプンの荒唐無稽なストーリー。やんぬるかな、細部では突っ込みどころ満載・・。しっかし、この作品は、そんな細かいこだわりは吹っ飛んでしまうほどの異常な魅力をもち、見る者に「これぞ映画」というゾクゾク感と興奮を感じさせてくれる・・そんな不思議パワーを持つ得難い作品。最近の邦画はこじんまりしてて面白くない・・という方は、ぜひこの「本来の映画がもつ魅力」を体感してください。星4.5・・そんな細かい端数は無視して星5っつ!

次回は、近々ロードショー。乞うご期待!
2011年11月14日 00時30分
11/14(月) 趣味のコンパス更新しました。(傑作映画ミニ解説)
【傑作邦画篇その4】- 邦画サスペンス傑作選1

★=オーナー独善的おススめ度(5つ星が最高)

■張込み(’58) 監督:野村芳太郎
おススめ度:★★★★☆

※待つ者たちの人生
原作は、松本清張の短編小説。殺人を犯した男(田村高広)が、佐賀県の片田舎に住む昔の恋人(今は人妻=高峰秀子)の家に立ち寄るであろうことを確信し、ひたすら張込みを続ける二人の刑事(大木実/宮口精二)・・真夏の猛暑の中、宿の一室で吹き出る汗を拭いながらひたすら張込みを続ける者たちのライブ感溢れる演出は特筆もの。観ている側も暑さを感じるほどの臨場感です。しかし、この作品が描きたかったテーマは、実は「張込み」そのものではなく、「張込み」によって次第に浮き彫りになっていく張込まれる側の「一人の女(人妻)の人生」なのです。吝嗇で口うるさい夫の下で、しかし従順に、何の刺激もない平凡な毎日を繰り返していた人妻が、犯人と再会した際に胸の奥に封印されていた激情を突然解き放つ・・女の人生が一瞬だけ輝きを見せるこのカットは、その後に迎える哀しい結末の布石として非常に印象深いシーンになっています。この作品、派手なアクションや謎解きはほとんどないので娯楽性はそれほど高くないのですが、映画としての風格と品格があり、登場人物の心理描写もしっかり描かれているので、ある意味「通好みの映画」と言えるかも。星4つ。

■天国と地獄(’63) 監督:黒澤明
おススめ度:★★★★★

※特急こだまの7cm
小生、黒澤監督の作品は30本すべて観ていますが、現代劇の中ではこの作品がマイ・ベスト1です。その他の邦画の中でも、サスペンスというジャンルに絞れば、未だにこの作品の臨場感、スピード感、スリルを超える作品は、小生の知る限り現れていません。ところで、見出しにつけた『特急こだまの7cm』。・・これは、誘拐犯が身代金の受け渡しに指定した鞄の厚さなのですが、この作品未見の方は何のことやらさっぱり分からないでしょうねえ。その答えは・・教えたくて喉から出かかっているのですが・・ネタバレは評論界の御法度(笑)。ここでは『黒澤監督が、こだまの沿線で撮影の邪魔になる民家の二階を取り壊させ、こだま内では8台のカメラを同時に回したという伝説が残る、最大の山場の最重要キーワード』・・とだけ言っておきます。でも、この「7cm」の謎を知るためだけにでも観る価値がある作品・・だと思いますよ。約50年前の作品ですが、今観てもまったく古さを感じさせない、これは邦画サスペンスの金字塔・・ですね(きっぱり)。星5っつ!

【はみ出し情報】この作品、モノクロですが1カットだけ「パートカラー」が使われていることは超有名。どのシーンで使われているかは・・観てのお楽しみ^^

■飢餓海峡(’65) 監督:内田吐夢
おススめ度:★★★★★

※心の闇に潜む飢餓
戦後間もない頃、北海道を襲った大型台風で青函連絡船が転覆し多数の死者を出した(実際に起きた事故が物語のベース)。暗闇の海峡に浮かぶ夥しい犠牲者の中に、乗客名簿に載っていない2つの死体が混じっていた・・。これがこの物語の発端。このエピソードだけでも次の展開が待ち遠しくてワクワク・・映画の重要な要素であるオープニングの「掴み」は、バッチリですね。原作は水上勉の推理小説。内田吐夢監督は、当時の日本の「飢餓」と、生きるために道を踏み外す人間の心の「飢餓」、そして、荒んだ心の奥底にそれでも残された一筋の光明を描いて、単なる推理サスペンスの枠を超えた見事な人間ドラマに仕上げています。「骨太な大作サスペンスの傑作」という言葉が本当の意味で似合う、日本映画史不朽の名作として記憶される1本・・ですね。星5つ。

【はみ出し情報】内田吐夢監督は、制作会社(東映)が興行上の理由から本編を無断でカット(183分→167分)したことに抗議し、クレジットから自分の名前を外すよう要求。この騒動がもとで後に東映を退社したそうです。映画も骨太なら本人も骨太・・ですね。この騒動のお陰かどうか定かではありませんが、嬉しいことにDVDは完全版(183分)で観られますよ^^

■砂の器(’74) 監督:野村芳太郎
おススめ度:★★★★★

※その罪の名は「宿命」
原作は、日本を代表する推理作家松本清張の人気小説。脚本は、橋本忍&山田洋次という二大巨頭。そして清張作品の作品を撮らせたら右に出る者がない野村芳太郎の監督により生まれた邦画を代表するサスペンスです。しかし、この作品が傑作になり得たのは映画音楽(芥川也寸志)・・これを外してこの作品は語れません。ある「宿命」に翻弄される親子の放浪の旅が、主人公が作曲し指揮をとる「宿命」という名の壮大なシンフォニー(主人公が作曲したという設定)に乗せて主人公の辿ってきた旅を映し出す・・映像と音楽が完全に融合し、指揮を執る主人公の胸に、そして同時に観る者の胸に万感迫る想いを沸き立たせます。推理小説を基にした作品ながら、トリックや展開の面白さよりも、そのエンディングのワンシーン(ワンシーンと言っても結構長い曲です)によって傑作として記憶に残る・・希有な作品といえます。しかし、DVDで観るとこの作品のよさ(特に、スケール感や音楽に包まれる臨場感)は半減してしまうかも知れません。音響設備が整っているスクリーンの大きな劇場でリバイバル上映の機会があったら、ぜひそちらで鑑賞されることをおすすめします。評価の減点箇所としては、主人公(加藤剛)が起こす犯罪の動機がやや弱い点と、世界的な音楽家になる才能の発露や経緯がまったく説明されていない点。・・ということで、サスペンス映画としての小生の本来の評価は星4つなのですが、なんとも素晴らしい映画音楽に1点追加・・で、星5つ!

次回は、12月初〜中旬にロードショー。乞うご期待!
2011年10月01日 20時45分
10/1(土) 趣味のコンパス更新しました。(傑作映画ミニ解説)
【傑作洋画篇その69】- 彷徨う愛の行方

★=オーナー独善的おススめ度(5つ星が最高)

■男と女(‘66:仏) 監督:クロード・ルルーシュ
おススめ度:★★★★★

※愛は私たちより強い
タイトルは知らなくても「シャララ、ダバダバダ」という有名な曲のフレーズを聴いたことはありますよね。互いに愛する伴侶を亡くした男と女の運命の出会い。愛する故の別れ、そして・・「オトナの愛の究極のカタチ」を、フランス映画独特の映像美(モノクロベースのパートカラー)で、お洒落に、切なく描いた映画史に残る名作です。小生、学生時代に観て、ラブシーンで流れる主人公たちの心情を吐露したクレジット「もうあきらめよう、愛は私たちより強い」というフレーズが非常に印象的だったこと、そして終幕後席を立てないくらいの感動を覚えたこと・・立てないついでに2回観てしまいました(笑)・・昨日のように思い出します。特筆すべきはラストシーン。ストップモーションのワンカット・・そのカメラワークと音楽のシンクロの見事さ・・その「映画力」にシビレること請け合いです。星5っつ!

■卒業(‘67:米) 監督:マイク・ニコルズ
おススめ度:★★★★★

※映画史に残るラスト
無目的の青春。若さ故の過ち。やっと見つけた、本当に自分が愛するもの、そしてやるべきこと。「エレ〜ン」「べ〜ン」・・今や誰もが知るあのラストシーンでは観客のすべての心がひとつになり、その結末に拍手・・。しかし、目的を達成してバスに乗り込んだ二人の笑顔に一瞬よぎる不安げな眼差しが、今後二人の前に訪れるであろう「現実」を予感させちょっと苦みが残る・・。うまいエンディングです。監督の非凡さが感じられるシーンですね。もうひとつ特筆すべきはサイモン&ガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」や「ミセスロビンソン」「スカボロフェア」などの挿入曲でしょう。映画とのシンクロでこれだけ心地よくツボにはまった音楽使いも希有で見事。この作品、高校時代に地元の映画館で観て、しばらくの間は不動の「マイ・ベストワン」だったのですが、30代後半になってからビデオで再度観た際、以前に比べ受ける感動の量が極端に少なくなり、そのことがとても寂しかったことをふと思い出します。考えてみれば、小生の高校時代は、まだ「プラトニック・ラブ」や「純愛」なんて、今や化石化した言葉がまだ硬派の若者の間に残っていた時代で、「花嫁奪略」なんてぶっ飛んだ発想は映画の世界でさえもなかった時代、一方、離婚率は50%前後、男女関係も二股三股あったりまえの現代。今やこのくらいの「翔んだ話や表現」は、映画も含めその辺にゴロゴロ・・(?)。やはり、映画に対する印象は、時代とともに、そして観る人の環境や心の変遷とともに大きく変わっていくものなのですね。しっかし、あの青春時代のあの感動をもう一度・・再び思い起こして、あえて星5つ!

■恋する惑星(‘94:香港) 監督:ウォン・カーウァイ
おススめ度:★★★★★

※香港・2つの恋の行方
ちょっと屈折した2つの恋物語が香港を舞台にスタイリッシュな映像で展開。ひとつ目のラストは、ちょっとほろ苦く、ふたつ目のラストは、ちょっと嬉しくなるという、とてもお洒落な構成の作品。ママス&パパスのあの名曲「夢のカリフォルニア」の使い方も印象的・・しつこいくらいに流れます。きっとこの監督が大好きな曲であることは間違いないでしょう(笑)。ところでこの曲、発売当初から小生大好きで、今でも携帯の待ち受けにしているくらいです。(ちなみに小生、家族からの待ち受けは「夢のカリフォルニア」、仕事関係は「仁義なき戦いのテーマ」にしとります・・はい。)この作品、その斬新なスタイル故に観客を選ぶかも。でも、小生はこの作品の「飛んでる、お洒落な空気感」が大好物。なので、ちょっと甘めの星5つ!

■ラヴソング(‘96:) 監督:ピーター・チャン
おススめ度:★★★★★

※10年の恋を繋ぐもの
この作品、日本では大ヒットしたわけでもないし、キネマ旬報のその年のベスト10にも入っていない(公開年の98年に16位)ことで知らない人の方が多いかもしれませんが、実は香港アカデミー賞でグランプリなど全9部門に輝いた、「知る人ぞ知る名作」なのです(きっぱり)。ストーリーは、ワケありで田舎から香港に出てきた男女がアルバイト先(マック!)で知り合い、それぞれが第三者とも関係を持ちながら10年に及ぶ愛憎劇を繰り返す・・そして最後には・・という、物語自体は結構キワドいものがあるのですが、ラブコメ的なスパイスも適所に効いていることで深刻になり過ぎず、かといって翔び過ぎず・・非常にいいバランスを保っています。テレサ・テンの歌を布石に使った監督のセンスに感心して、ラストシーンを観ながらニコリとなって、もう一度ファーストシーンを見返してニヤリとして・・この映画、拾い物だあ・・そんなおトクな気持ちにさせてくれる得難い作品。おすすめです。星5つ!

次回は、11月初旬にロードショー。乞うご期待!
2011年08月18日 06時00分
8/18(木) 趣味のコンパス更新しました。(傑作映画ミニ解説)
【夏休み邦画特別篇】
本の夏・怪談の夏

★=オーナー独善的おススめ度(5つ星が最高)

■雨月物語 ('53) 監督:溝口健二
おススめ度:★★★★★

※生者と死者の心の闇
近世・・江戸後期の人気作家である上田秋成の怪談集「雨月物語」全9話の中から「蛇性の婬」「浅茅が宿」の2話を脚色し映画化したもの。この手の海外もの(ホラー映画)は、復讐心からくる「怨念」をベースに、そのグロテスクさと血しぶきの量で生理的な恐怖を煽るケースがほとんどですが、この作品にはそんな「こけ脅し」は皆無なのでホラーは苦手という方でも安心して鑑賞できますよ。この作品、怪談という衣を着てはいますが、その本質は、人間誰もがもつ欲望という名の心の闇、生者であるが故の理性との相克、そして魂の救済、というアカデミックかつ普遍的なテーマが軸。カメラ、美術、音楽、そして娯楽性も十分兼ね備え、緻密に作り込まれたストーリー。無常観と様式美に裏打ちされた、日本人の心にしみる空気感・・すべての要素が高い次元で絡み合い、奇跡とも言えるほどの完成度と格調の高さをもつ・・これはもう、世界に誇れる日本映画の傑作ですね。満点の星5つ!

■東海道四谷怪談 ('59) 監督:中川信夫
おススめ度:★★★★☆

※男のサガ・女の怨念
日本の代表的な怪談といえば、「牡丹灯籠」「番町皿屋敷」などがありますが、先ず筆頭に挙げられるのは、やはりこの「四谷怪談」・・でしょう。元禄時代に実際に起きたとされる事件をもとに鶴屋南北によって創作されたこの怪談は、今まで数えきれない数の映画化がありましたが、この「東海道四谷怪談」は、脚本や美術、カメラワークなども含めた総合的な完成度、その恐怖度合いからも「四谷怪談の最高傑作」といわれる作品で、怪談ものでカルト的人気を誇る中川信夫監督の代表作でもあります。お岩さん(若杉嘉津子)が夫の伊右衛門(天地茂)に毒を飲まされて顔が爛れたり、櫛でとかした髪の毛がごそっと抜けたりするシーンは、やはりこの作品最大の見せ場。制作されたのはCGがなかった時代なので、これらは当然アナログでの作り込みですが、かえっておどろおどろしさが醸し出され背筋がゾクッとしますよ。個人的には、蚊帳の上でうごめく蛇を俯瞰で撮ったシーンが・・怖かったですけどね。小生、世の中で一番怖いものは蛇・・なもので・・。星4つ

■怪談 ('65) 監督:小林正樹
おススめ度:★★★★☆

※怪談を芸術に昇華
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談集より「黒髪」「雪女」「耳無し芳一」「茶碗の中」の四編をオムニバスで描いた作品。全体的に絵作り=美術が素晴らしく、これはもう芸術の域。その格調の高さは見事。「黒髪」は結構ゾッとする仕掛けや、おぞましい空気感もたっぷりで、一番怪談らしい作品。「茶碗の中」は、よく分からない奇妙な話なのですが(笑)、そのシュールさが新鮮な魅力を醸し出しています。しかし「雪女」「耳無し芳一」に至ると、さすがに有名過ぎて話の顛末が逐一分かってしまうことから、新鮮味や怖さがほとんど感じられず・・個人的にはちょっと残念。しかし、カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、海外でも評価される要素をもった一見の価値ある名作ではあります。星4つ。

■薮の中の黒猫 ('68) 監督:新藤兼人
おススめ度:★★★★☆

※愛と情念の異形の者
今年99歳になる新藤兼人監督のあまたある過去の作品群の中で、怪談のジャンルは「鬼婆(’64)」と、この「薮の中の黒猫(’68)」の2本のみ。時は平安時代、京の都の羅城門に夜ごと出没する美しい妖怪。その裏にはある家族の悲しい秘話が・・。漆黒の闇夜の中、ふわりと弧を描いて舞い降りる妖怪、風にざわめく竹薮の奥にひっそりと佇む古屋敷・・モノクロの光と影が織りなす幽玄な舞台は様式美に溢れ、なんとも静謐で怪しげな空気感を醸し出して見事。惜しむらくは、後半〜物語の結末が何ともあっけないこと。もうひとひねりあればさらなる傑作になっていた・・でしょう。余談ですが、主人公の夫(中村吉右衛門)と、妻(太地喜和子)との切なく繰り返されるラブシーンは、当時の時代劇には珍しく濃厚で、公開当時映画館で観た際には結構ドキドキした記憶が・・(・・最近DVDで再見したところ、それほどでもありませんでした・・が、当時は田舎の純情な高校生だったものですから・・はは)。星4つ。

次回は、9月中旬にロードショー。乞うご期待!
2011年07月12日 19時30分
7/12(火) 趣味のコンパス更新しました。(傑作映画ミニ解説)
【元気が出る邦画篇4】
人情時代劇傑作選

★=オーナー独善的おススめ度(5つ星が最高)

■丹下左膳餘話 百萬兩の壺('35) 監督:山中貞雄
おススめ度:★★★★★

※才気溢れるエンタメ時代劇
余程の映画通でなければこの作品の存在を知らない人が多いかも・・。でも、この作品、この時代(昭和10年制作=なんと戦前!)にあって、そのポップでお洒落な映画的センスに先ず驚かされます。さらに、様々な場面で省略表現を多用することで生まれる絶妙なテンポのよさ、群像劇としての要素においても計算し尽くされた緻密さ、完成度の高さ・・現代でもまったく違和感なしに楽しめる普遍性を持った、娯楽時代劇を代表する傑作なのです。主演はあの大河内傳次郎。一見こわもてで片腕・隻眼という異形の浪人だが、義理・人情、そして女房と子供にはめっぽう弱いという愛すべき役柄を好演。その後、丹下佐膳作品は、かなり多くのリメイク版あり。しかし、なんと言ってもこの作品が一番(きっぱり)。22才で監督デビューし「天才山中」と言われた山中貞雄監督は28才で夭逝(日中戦争下、現地で病死)、そして現存する彼の作品は、残念ながら3本のみ(※)。邦画ファンはすべて必見・・でしょう。星5つ。

【現存する山中監督作品】
1. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺('35)
2. 河内山宗俊('36)
3. 人情紙風船('37)

■幕末太陽傳('57) 監督:川島雄三
おススめ度:★★★★★

※居直って今を生きる
江戸末期、品川の遊郭を舞台に、明るく、調子よく、痛快に生きる男の人情喜劇。脚本の元ネタは、落語の「居残り佐平次」・・とか。この作品、川島監督のテンポよい演出の妙もさることながら、フランキー堺(主人公:佐平次)の、ツボにはまった軽妙洒脱で小気味よい演技が一番の見どころ・・でしょう。この作品、脚本の妙、映画としての空気感と完成度、役者たちの演技・・どれをとっても一級品。「後世に残すべき邦画の1本」であることは間違いない・・でしょう。なお、高杉晋作役で出ている石原裕次郎が何とも爽やか過ぎて、多くの日本人がもっている「豪放磊落な高杉晋作像」を壊しているのは・・これは・・ご愛嬌(笑)・・星5つ。

■赤ひげ('65) 監督:黒澤明
おススめ度:★★★★★

※生と愛を紡ぐ者たち
舞台は江戸・小石川養生所。原作は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」・・原作も読み応えあり。超おすすめです。黒澤監督最後のモノクロ作品で、現代にも十分通ずる普遍的テーマ性と、娯楽性二も十分配慮したストーリー表現の巧みさは、正に黒沢イズムの真骨頂。3時間超の大作にもかかわらず、長さはまったく感じず、終わることがもったいないような感さえ残る得難い名作です。主人公「赤ひげ」を演じる三船敏郎の「静」と「動」を演じ分ける存在感は見事。また、赤ひげに師事する悩み多き若者(加山雄三)の演技もあっぱれで、この作品は二人にとっての代表作と言ってもよいのではないでしょうか。ところで、黒沢監督は、当時業界人の間で「黒沢天皇」と揶揄されるほど己の作品に対し完全主義を貫いたことで殊に有名。その類いの逸話は数多く存在しますが、この作品では、画面には一切出てこないのにも関わらず、空気感を出すため(?)に診療所に置かれた薬棚の引き出し(たくさんある)の中すべてに本物の薬(漢方薬)を入れさせたという話が有名。う〜ん、気持ちはわからないではないけど、それって、完璧の概念を超えてますよ・・監督(笑)。世界に通用する、日本人必見の邦画・・です。星5つ!

■隠し剣 鬼の爪('04) 監督:山田洋次
おススめ度:★★★★★

※男の強さと優しさとは
山田洋次監督が、その底力を遺憾なく発揮し日本の映画賞を総なめにした時代劇の名作「たそがれ清兵衛('02)」から2年。再び藤沢周平の原作でつくられた本格時代劇であり、爽やかな後味を感じさせる大人の愛の物語。舞台は山形の小藩。東北の美しい自然の中、永瀬正敏扮する主人公と、ヒロイン役の松たか子の貧しくも凛とした生き方、そして素朴な佇まいが、ともにその風土にマッチしていてとてもよい空気感を醸し出しています。言葉の尻に多用される「・・でがんす」という山形弁が、特に優しく心地よく耳に残ります。そして、ラストには、その言葉を使って、誰もが思わずにっこり微笑むような、そんな爽やかな感動が用意されています。山田監督の作品の中で個人的に好きなラストシーンを挙げるなら、1位=「遥かなる山の呼び声(’80)」、そして、この「隠し剣鬼の爪」が2位・・ですね。星5つ。

次回は、(夏バテしていなければ)8月上旬にロードショー。乞うご期待!

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